アンソニーホプキンスの演技か素晴らしかった。
夕暮れ時にライトがつき、人々が歓声を上げるのを見て、ベン夫人の言う台詞。
夕暮れが、
1日でいちばんいい時間と人は言いますわ。
皆楽しみに待つと
ここでスティーブンスはぼんやりとしていた瞳に、意思が戻るかの様子。気づいたかのようにハッとする。
自分の夕暮れはもうとっくに過ぎ去って居たことを知る。淡い思い出にお別れをして、残された時間、今までも、そしてこれからも同じように変わらぬ日々を過ごすのだという事を思い起こし、新らしい主人への忠誠と敬愛をそっと、決意を新たにして。
とても、しみじみといい映画だった。ともすれば、自分の過去の過ちなど無かったことにしてしまいたかったり、都合のいいように書き換えてしまうのが人間だけれども、主人公の執事スティーブンスは過ちを過ちと受け入れて、旅に出てはみたものの、過ぎ去った過去だと知りかつての主人との良い時代、良い思い出とともに淡い恋心にも別れを告げて、今を生きようとする。それがすでに日の名残りであっても。
映画では屋敷に飛び込んだ鳩を逃し、空を見上げるシーンで終わりますが、原作では、夕暮れについては別の人の台詞であるし、ラストも違います。
私は原作の方が好きかな。
あの堅物でクソ真面目なスティーブンスの、本腰を入れて研究したジョークとやらを聞いてみたい。