ぼくとアールと彼女のさよなら
いい映画だった。
周りに馴染めず、自意識過剰に反応しがちな面倒臭い男の子グレッグが主人公なんだけど、彼は人との関係に深入りする事ができない。背景にある色んな事が目についたり鼻についたりするんだろう。そんな年頃でもある。
おそらく主人公は共感しすぎるためか、誰からも距離を保とうとしつつ、根が善良なため家族にも他人にもひどい態度も取れず、どっちつかずの中途半端な生き方しかできないでいる。青春あるあるな感じ。
そんな彼が何で死に行く彼女レイチェルと友達になったのか。
落ち込んでいたら、元気を出して欲しい。泣いていたら、笑って欲しい。
そう思える相手は友達なんだろうと思う。
そこでなぜなのかと意味を問うたり考えたりするのも無粋か。
「人は死んでからその人のことをもっとよく分かるようになる」
人は成長とともに他者の視点で物事を見る事ができるようになる。
それが思いやりにつながりもすれば、未熟だと猜疑心とともに妄想になったりもすると思うのだけれど、
完全に自分ではない別の誰かの視点で世界を見る瞬間に、分かる事がある。
全てを理解するあの瞬間。
レイチェルのブックアートの世界や壁紙のリストつながるものを、
グレッグは、自分の映画にしていくのだろうと。
この音楽のシーン。彼女の表情が素晴らしかった。
Brian Eno “The Big Ship”